行政書士の髙木です。
昨日に引き続き今日も時事ネタで。
昨日、来日していたネパール人に難民認定の偽装申請を指南し、就労させていた同ネパール人のブローカーの男が、入国管理局から出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」とします)違反(不法就労助長)容疑で摘発されていたことが報道されました。ブローカーの男は、難民認定を受けていない外国人でも申請中なら就労できる制度を逆手に取り、100人程度に指南していたといいます。
そういえば、去年の12月にも難民認定申請の相談を受けたなぁ(・・・)、なんて思い出しながらそのニュースを眺めていました。
そして今日、この問題で、入管法違反(不法就労助長)容疑で摘発された同ブローカーの男が偽装申請を指南したネパール人の中に、外国人技能実習制度で来日していた技能実習生が多数含まれていたことが新たに分かりました。少なくとも約20人がブローカーの男の仲介で実習実施先以外の工場で働いていたとのことでした。
日本の難民認定制度を巡っては、2010年の制度改正により、申請中の生活を支えるため、申請から6か月が経過すれば日本で就労が認められるようになり、外国人実習生が実習実施先以外で働くことは本来なら不法就労ですが、この改正で、難民認定申請を行えば実習実施先以外で合法的に就労できるようになりました。それ以降、2014年には難民認定申請数は5年前の5倍近い5000件(暫定)に急増。そのうち、外国人技能実習制度で来日し、実習実施先から逃亡した技能実習生による難民認定申請数も4年前の10倍近い391件に急増しており、入国管理局は、偽装申請が横行しているとみて調査を進め、また高収入を求める技能実習生による偽装申請も広がっているとみています。
また、この難民認定の偽装申請問題で、上川法相は今日、閣議後の記者会見で、制度が悪用されているとの認識を示した上で、「法の趣旨にのっとって適正化を図っていくことが大変大事だ」と述べられたそうです。
法相の私的懇談会は昨年12月に、明らかに難民に該当しないケースの審査の簡略化や、申請中の就労許可のあり方についての見直しを提言しており、上川法相はこれを踏まえ、「(就労を目的とする)制度の乱用防止について、法改正も含めた形で検討している」とも述べられたそうです。
難民認定申請制度を悪用したブローカーの摘発は今回が初めてで、異議申し立てや再申請を繰り返せば、日本で働き続けることが可能な点等が議論を呼び、今回の摘発を機に制度の見直しを求める声が高まることが予想されます。
このように、こうした事例が、難民認定制度に誤解を招き、本当に助けを必要とする難民を苦しめる事につながるのではないかと危惧の念を抱いており、ブローカー及び偽装難民申請者はそのことをもっと自覚すべきだと腹立たしく思います。
申請取次行政書士は、外国人に関する行政手続の専門家です。申請取次行政書士登録以来、各種申請業務に関わっています。是非、ご相談ください。
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